2014年1月31日金曜日

合格水準_6

設計製図試験の試験」は、「与えられた内容及び条件を充たす建築物を計画し、設計する知識及び技能について設計図書等の作成を求めて行う。」ものです。
KKもそう公表しているし、センターの合格基準等についてもそう書かれています。
ものすごい乱暴なたとえですが、ウツワの中に条件に合わせてレイアウトするだけ^^;;;
ウツワ(敷地及び周辺条件、建築物)も条件もレイアウトするもの(要求室&その他の施設等)も問題用紙に書かれているので、ちゃちゃっと並べてシャカシャカシャーなんですが

与えられた内容というのは、「下表の室は、すべて計画する。」と記載されている「要求室」とそのあと続けて記載されている「その他の施設等」ということだと思いますが、
ユープラでもココを読み間違えるたのか読み落としたのかという解答案が見受けられます。
マーカーの仕方とかいろいろ流儀があるようですが、カラフルに線引きしても問題用紙を提出するわけではないですし、せいぜいA4半ページ分。丁寧に読んで頭に入れてしまうかプログラム図を作成するかした方が間違いは少なそう。
今回の課題の要求室はこんなんでした。
H25_要求室
プログラム図に与えられた内容(室名・床面積)を書込むとこんな感じ。(条件はその次の段階です)
プログラム図_準備
部門や室相互のつながり等は整理されていなくても構わないのですが、
お題は2カ月も前に発表されるのでどんな施設なのかは予想できます。
試験は要領のところもあるので、ある程度の準備はして試験を受けた方が合格しやすくなるだろうとこんな風に考えてましたが、そうははずしてなかったと思います。
(→http://sato4f-jottings.blogspot.jp/2013/08/blog-post_4789.html

条件(特記事項)を整理・分析・調整する前に、内容(室名や床面積)を読み取れていないと
ムダ勉ならぬムダエスキースです。(上から目線発言m(_ _)m
条件を充たしました!( ̄^ ̄)ゞといっても、要求された室より小さいもの(大概コレです)を並べても・・・。
入らないから要求を無視して小さいものに変えるというのはおそらく反則(減点)。合格案でもやらかしてるううっぅううというのもあるので一発レッドということにはならないようですが、エスキース(条件調整)をいくら考えても前提(レイアウトするもの)が間違っているのではむなしい感じがします>_<

それはともかくユープラを見てみると、これはムリでしょうというものがいくつか。
(例に上げさせてもらった方々m(_ _)m
セミナー室 Aは、
・教室型とし、50人程度が利用できるようにする。
でしたが、
セミナー室A
7m×7mでは、50人分の机・椅子は並べられなそう。
しか〜し、
ランク1
割り切り?なのか、40席しか並べられてませんが合格案です。
減点はあったのだと思いますが、このことだけではランク落ちするほどではないということなんだと思います。

アトリエは、
・間口及び奥行きは心々10m以上とする。
アトリエ準備室は、
・約30㎡
でしたが、
アトリエ(間口9m)
狭いところで10m取れている(10m×10mが取れる)ことが必要だと思うのですが、9mしか取れていません。
無柱空間約150㎡ですが・・


ランク1
とはいえ合格案でも取れていない案があるので、この部分だけの減点で合否が決まるほどのことはなかったんだと思われます。
両案ともアトリエ準備室なり空調機械室の形状を少し(線一本)変えるだけで条件は充たせるのですが。
勝手に修正案、あまりに惜しい!

和室は、
・10畳とし、床の間及び押入を設ける。
でしたが、
和室
間口3m、奥行き6mの18㎡だと、畳の大きさが約1,400 × 900で茶室の台目畳(3/4畳)くらい。実質7畳半くらいしかありません。

宿泊室A(洋室・4人室)は、
・シングルベッド及び談話コーナー(テーブル、椅子等)を設ける。
・洗面台、便所及びを設ける。
でしたが、
宿泊室A
15㎡(ビジネスホテルのシングルルームくらい)にベッド4台はさすがに無理っぽい。

宿泊室B(和室・12畳)は、
・洗面台、便所及び押入れを設ける。
でしたが、
いろいろあります。
http://sato4f-jottings.blogspot.jp/2014/01/q7.html

*宿泊室が与えられてた内容を満たしていない場合、(減点)×6ヵ所とか(減点)×2ヵ所とかなってしまうのだろうか。ちょっと気になります・・

どの案も図面をみると「知識及び技能」は有していそうなのに、それ以前のことで「知識及び技能」が不足しているという判定に近づいてしまうのではちょっと残念な気がします。

【追記】
屋外テラスは、
まとまったスペースで80㎡を確保する。
となっていました。
周囲を植栽で囲う案が多かったのですが、植栽まで含めての面積ではなく
テラスとして使える有効面積で80㎡を確保しておいた方が無難だったのだと思います。
屋外テラス
ゴミ置場東側の植栽は屋外テラスに入れて、北側の植栽は入れない計算のようですが、採点する試験委員の方がそう判断してくれるかどうか。
ゴミ置場がw2,000 × d3,000(あるいは2,000 × 2,000)でも特に問題なさそうに思います。

2014年1月30日木曜日

合格水準_5

何となくカタチがイメージできたら、まずはヴォリュームを想定してみるわけですが。
計画する建築物は床面積の合計が指定されています。今回は、
1,500㎡以上、1,800㎡以下とする。
でした。
あまり深く考えなく中間値の1,650㎡くらいのあたりでもいいのですが、
階別ゾーニングだとすると150㎡のアトリエ上部が吹き抜けになる
 &
エントランスホールの吹抜けを1コマとすると200㎡(4コマ)くらい2階の方が面積小さめのはず。
1階が6コマ×4コマの24コマ、2階は20コマ。
1コマ42㎡だとして
44コマ × 42㎡ = 1,848㎡
ってダメじゃん(-_-;)
切り欠きのある不整形案?、2階にルーフバルコニー??
そか、屋外テラス2階で・・なんて考えるとハマります。

総2階にこだわるわけではないですが、
1階が7コマ×3コマの21コマ2階は17コマだと1コマ42㎡だとして
38コマ × 42㎡ = 1,596㎡
ちょっと小さいか?
ん〜、アトリエ1スパンずらしで
1階が7コマ×3コマの21コマ+2コマ2階は19コマだと
42コマ × 42㎡ = 1,764㎡、いい感じかも。
コレでは話がうますぎるので
1階が7コマ×3コマの21コマだと、2階が17コマ、1コマ42㎡だとして
38コマ × 42㎡ = 1,596㎡
変スパンで8mとか入るといい感じなのかも、
くらいのあたりがつけられると
7コマ×3コマプラン、ターゲットは1,650㎡より大きいのかなと想定できたりしそうです。

実際ユープラの解答案をみると、
床面積分布
公開案139案の
床面積の最小案:1,588㎡
床面積の最大案:1799.5㎡
床面積の平均は1744.1㎡です。
(公開案の解答値です。けっこう床面積計算違いがあるので実際は少しズレそうですが)
整理すると、
解答案_床面積分布
どうも1,750㎡くらいで見込んでおくといい線いったようです。


【追記】
過去問を見てみると、
床面積_過去問
どうやらターゲット面積は設計条件の床面積の平均というより、上限より少し(1コマ)下くらいを狙うといい線いくように決めているのかも。(・・・本当ですか?)
設計条件内であればどうでもいいのですが、計算してみたら面積オーバーΣ(゚д゚lll)
アワを食べながら、吹抜けやバルコニーで何とか調整といったことがなくなるかもしれません。
ユープラにもこんなんが。合格案です(^-^)//""
千葉県Tさん、勝手に引用m(_ _)m
2階平面図の梁の見えがかりが・・とか、断面図に小梁が・・なんて細かいことは関係なし。
「知識及び技能」を有していると思います。

2014年1月28日火曜日

合格水準_4

今回の課題で特徴的だった勾配屋根。
構造計画についてで工夫したこと、といわれても・・
変なことをしないよう気をつけるので精一杯…^^;
おそらくは、こういうラーメングリッドの
陸屋根
棟の部分を2寸勾配になるまで持ち上げて切妻になるようにするのが一番簡単そう。
小梁の架け方は解答例を見る限りXYどちらもありの様です。
切妻屋根
一部陸屋根とするときは、こんなんでいいのだろうか?
一部陸屋根
配筋とかは全然わかりません。ずいぶん混み合いそうです。
求められていないことは避けて通った方が合格はしやすくなると思います。
ユープラでも、
陸屋根を設けて設備機器を設置、メンテナンスのために管理階段でアクセス出来るようにした、
などと要点に書いてあるけれど、塔屋から勾配屋根を歩いていくのだろうかみたいな案が見受けられます。
(1)空間構成
  4.建築物の立体構成等
でチェックが入ってしまったかもしれません。

2014年1月26日日曜日

合格水準_3

今回の課題では、建築物について
主要な屋根は、2/10以上の勾配屋根とする。
という景観保全のための制限がありました。
断面イメージを考えるときに勾配屋根を描くと、まずは切妻かと思います。
ユープラ参加案を見てみると、
 ・切妻案・・・・・・・・80案
 ・切妻(妻面南北)案・・  4案
 ・段違い(ハイサイド)案・・  9案
 ・片流れ案・・・・・・・29案
 ・アトリエ部陸屋根案・・14案
で6割弱です。多数派は多数派なのですが圧倒的というほどでもない。
考えられる理由としては、設備スペースを屋上に設けるために陸屋根部を設けたためだと思われます。
設備スペースを屋上に設定した案が56案あり、4割強の方が計画しています。
陸屋根にするのが設計条件に抵触すると判断されたのかどうかはわかりませんが、これだけ多いと条件違反だったとしても差がつきにくいとはいえます。

屋根の形状別にユープラ案を分類してみます。
断面イメージ
敷地条件や課題条件をフツーに考えれば室外機等は地上設置のほうが簡単。
屋根形状を陸屋根部等を設けないでシンプルな形状にまとめた案にした方が
ユープラ平均合格率26.5%より合格率は高かったようです。
 設備スペース地上案(アトリエ陸屋根部含む)は80案中26案が合格。合格率32.5%
 設備スペース屋上案は56案中10案が合格。合格率17.9%です。
難しくなる方向で考えると結果が出にくくなるというのでは何だか損した気が・・(セコいですが…^^;

また、留意事項には

自然採光及び自然通風を積極的に取り入れる計画とするとともに、日射の遮蔽にも配慮する。
とあったのですが、標準解答例にあるような段違い屋根の北向きハイサイドライト案は少数派。
過去問(H16)でも標準解答例とされていたので、それ程特殊解では無いと思いますが、
多数派の6コマ×4コマ案だと架けにくいということもあったのかもしれません。

2014年1月24日金曜日

合格水準_2

解き直し、未受験を除くユープラ公開案136案のランク別内訳及び割合は、
 ランク1・・36案:26.5%
 ランク2・・57案:41.9%
 ランク3・・37案:27.2%
 ランク4・・  6案: 4.4%
 です。(1/24現在)

これをゾーニングとウツワで分類してみると・・・
ゾーニングとウツワ パターン
まずゾーニング。
1階は共用・管理部門及び研修部門、2階は宿泊部門という階別ゾーニングが136案中122案で90%の方が採用しています。
さらにこの122案をウツワイメージで分類すると、
 東西7コマ案:39案
 東西6コマ案:68案
 東西5コマ案:10案
 東西4コマ案:  1案
 階高上げる案:  4案
となり東西6コマ案が122案のうち半数以上の56%の方が採用で多数派です。

東西7コマ案及び6コマ案をもう少し分類してみます
 東西7コマ×南北3コマ案・・・・・・・・・・・  13案
 東西7コマL型(アトリエ1スパンずらし)案・・    9案
 東西7コマ不整形案・・・・・・・・・・・・・・17案
 東西6コマ×南北3コマ案・・・・・・・・・・・  14案
 東西6コマ×南北4コマ案・・・・・・・・・・・  33案
 東西6コマ不整形案・・・・・・・・・・・・・・21案
となり、蓮茶姫さまもまとめられていましたが
(→H25年組(2013年)による多数派とは?-東京ユープラ検証会より)、
多数派は全体の四分の一近い33案がある「無難に6×4コマのオーソドックスな平面構成案」になります。

次に各案のランク内訳を見てみると、
東西7コマ×南北3コマ(アトリエ1スパンずらし)案は9案ありますが7案が合格です。
なんと、合格率77.8%!
(標準解答例①もそうでした)
次に合格率が高かったのは、
7コマ×3コマ整形案で13案中5案が合格(合格率38.5%)
6コマ×4コマ整形案で33案中11案が合格(合格率33.3%)
で、上記3パターンでユープラ合格案の36案中23案(63.9%)を占めています。
ユープラ参加案での合格率26.5%以上だったのは上記3パターンだけ。
もちろん他のウツワイメージでも合格案にはできているのですが、時間内にまとめるということが求められる試験なので、パターン出しをしてまとまりやすい案を選べると合格に近づけるということはありそうです。
床面積約150㎡のアトリエを1スパン北 or 南にずらせて中央スパンを通すというのは、ある意味テクニック的なところもあるのかと思いますが、整形な敷地にシンプルな整形プランというごくありきたりな考え方をするだけで合格には近くなるということは言えると思います。

2014年1月23日木曜日

合格水準_1

試験とは言え「設計製図」なので課題の設計条件は、
主文(この課題は、・・・を計画するものである。という定型文で書かれています。)
で始まり、
敷地及び周辺条件
として提示されます。
計画する建築物にふさわしい敷地が選定されているのだろうと考えるのがフツー。

今回の試験で計画するように求められたのは、
「美術系の大学のセミナーハウス
施設の計画は、
・実習や討論を通じてのコミュニケーションを図る場
・豊かな自然を満喫することで心身をリフレッシュする場
・地域住民との交流の場
とかなり具体的な要望がありました。
敷地は都市近郊の湖畔、遠くに山々が見え景色がよいロケーションです。
おそらくこれがこの敷地の最大のウリ。
施設の計画に当たってこの場所が選定されたのは、
このロケーションの特徴を生かすことで上記の目的がかなえられそうだから
と考えるのはそれ程不自然なことではないと思います。
というか、相手(試験元)は当然それ(敷地条件を活かすこと)を期待していると思います。
センターが
標準解答例は、試験の透明性を高めるとともに、建築士を志す者に対して、習得すべ
き知識及び技能(一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総
括的な知識及び技能」をいう。)の目安を示す資料として、当センターに設置された試
験委員会で作成されたものです
として公表する標準解答例の計画の要点等の概要〈建築計画〉を見ると、
標準解答例①
 ・眺望の良い南側には、食堂、アトリエ及び浴室を計画
標準解答例②
 ・宿泊部門は眺望のよい南側及び東側に計画
 ・共用・管理部門の食堂は眺望の良い南側に計画
と設計する際に考慮したであろうことが記載されています。
どちらの解答例もどちらの方位なのかは別にして
「眺望のよい敷地を活かす計画」をしています。
トーゼンといえばトーゼンのリアクション。
さすがにココをスルーだと印象が良くない気がします。
では、どのように活かすのか。
課題文には直接的には書かれていません。
それっぽいのは、浴室の特記事項に
・眺望に配慮する。
とあるだけ。
思わせぶりなのは屋外テラスの計画に
地上又は1階の屋上に設けるものとし、・・
とあること。
真に受けて食堂を2階に計画するとハードルが上がって大変そうです、多分。
景観の良い側に向ける優先順位が、談話室、浴室、宿泊室(大人数)、宿泊室(少人数)
という説もあるのかもしれませんが、合格率40%の試験です。解答する側の判断で無難にまとめておけば合格水準の解答案とみなしてもらえたんだと思います。

今回の敷地で、眺望のベストポジションは2階の南面。当然東西に長い建物形状にした方が眺望を活かす計画にしやすいのだと思いますが、ユープラを見てみると・・・

階別ゾーニングで宿泊部門を2階にした案が122案あるのですが、内訳は
 ・東西7コマ案・・・39案(32%)
 ・東西6コマ案・・・68案(56%)
 ・東西5コマ案・・・10案(  8%)
 ・東西4コマ案・・・  1案(  1%)
 ・階高を上げる案*・・4案(  3%
です。
 *階高を上げる案というのは、1階アトリエの指定天井高さを取れる階高にして2階にアトリエの上部が
 あらわれない案。2階外周がすべて使えるのですが・・
根強い東西6コマ案支持があり多数派です。
、合格案34案の割合を見ると、
 ・東西7コマ案・・・39案中15案、合格率38%(合格案に占める割合は44%)
 ・東西6コマ案・・・68案中16案、合格率24%(合格案に占める割合は47%)
 ・東西5コマ案・・・10案中  2案、合格率20%(合格案に占める割合は6%)
 ・東西4コマ案・・・  1案
 ・階高を上げる案*・・4案中  1案、合格率25%(合格案に占める割合は3%)
となり、東西7コマにして南面する部屋を多くした案の方が合格案となりやすかったようです。

2014年1月20日月曜日

ura模範解答例

ウラ指導さんの模範解答例が公開された。

1階は南北に通したエントランスホールを挟んで西側が共用(食堂)・管理部門(事務室、設備スペース&厨房)東側が研修部門、2階が宿泊部門のシンプルなゾーニング。
ウツワは南北4スパンで切妻形状のシンプルな形。
アトリエは北東隅。2面採光で外部の樹林と一体感がありそう。
(壁が少ない気もするけれど大したことではないか)
エントランスホールの吹抜けはセンターに1コマ分、トップライト付き。2階が回廊式なのでオーソドックスな解決法です。周囲の自然景観の取り入れは北側の樹林に対して1スパンの全面開口。エントランスホールをクランク状にして交流と展示のためのコーナーにしている。
宿泊室は南北(1室東向き)。2mバルコニーにして窓側にベッド。(王道ではなかった^^;;;
和室も入口の取り方が気になるけれど。
談話スペースの本棚のレイアウトは思いつかなかった。こういうのもありますね。標準解答例②の窓台(下部書棚)にもやられたって感じでしたけれど…^^;
浴室は南面。全面開口だけれど外部の視線は特に気にすることでもなかったのか。
その他必要と思われる室等としてはロッカー室。まあ常識の範囲でよかったんだと思う。
スパン飛ばしはPC梁で対応、フム。CH=7.4mと記載されている。(6.3m+8.5m)/2くらいか。

条件をはずさないようまとめてミスを少なく、合格案の王道だと思います。

【あっ】
1階設備機械室の面積が!!ミスをするならこのくらいということだろうか???m(_ _)m

2014年1月17日金曜日

ショートカット・トゥ・1Q_8

KKが公表している合格基準等には「採点のポイント」として、
構造計画や設備計画もあります。
一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」
を有するかどうかの採点をして合否判定をしているとのことなので、実務で経験があるかどうかは関係なく最低限の知識は必要なんだと思います。(実際の設計とかはできなくても可)。

昨年の課題(小ホール)の空調設備では、ダクトのルートが記述と不整合とかは減点大きめのような感じでしたが、今年はアトリエの空調設備なので、極端な話(受験生が意図していたかどうかは別に)ダクトがアトリエ内露出配管とかでも意匠的にはありそうな話。DSルートがあやしそうな解答でもそれ程「知識及び技能」が不足しているように見られなかったのかもしれません。(減点小 or 採点項目になかった?)

一方、構造計画の方は。
例年ですと四角い箱型の建物で何とかなるので、RC純ラーメン(一部PC / SRC)ということでほとんどの方が悩まないのだと思いますが、今年は勾配屋根。
しかもアトリエの天井の平均の高さは5m以上という指定があったので、2層分吹抜け(階高8m)と割切れば話は簡単なのですが、アトリエ部分は階高抑えて陸屋根とか、設備を屋上にとか考えると小屋梁が若干複雑になり断面とかでちょっとあやしいのでは?という案も見受けられる気がします。
又は伏図との不整合。(昨年からのレイアウトで目立つ気がします^^;;;

例えば、
・R階平面は描かないので、2階平面図と2階梁伏図の切る位置を変えたのか、解答用紙の左右で整合していないもの。
・記述との不整合(図面はRC一部SRC造、記述はRC造や図面はRC(SRC梁を受ける柱がない)、記述はRC一部SRC造等)。
・浴室等のスラブ下げを描かないのは記入忘れくらいの判定なのかもしれませんが、防水を考えると小梁の架ける方向が良くないもの。
・CSの出(≧2m)に対してCGを設けてないもの
・G梁とB梁の区別がおかしいもの、等々。
記述内容を想定した解答案を暗記して、そのまま書いてしまったのかもしれませんが、
ウラ指導さんの公開講座にある内容(方持梁の考え方やラーメングリッド)がイメージできる程度の知識は必要なんだと思います。

見えがかりの梁が描かれてないとか梁伏図の符号が一つ二つ抜けているとかは、作図ミスということなんだと思いますが、構造的に成立しないと「知識及び技能」が(少しなのか著しくなのか)不足しているように判定されたのではという感じです。
とはいえ。合格案でも4mキャンティとかあるし。何とかなるのかな。わかりませんが。

【追記】
改めて標準解答例2を見ると、食堂上部の談話スペースはG3梁(600×1200)に12mスパンのB3梁(500×1200)を架けて4mの出のスラブをもたせる計画。RCで何とかなるものなのか(PCなのかな)。
どーでもいいことですが、階高4,000で天井高2,900、梁成1,200ということは梁底が露出?
CH2,900に何か意図があるのだろうか??

2014年1月16日木曜日

ショートカット・トゥ・1Q_7

公表される採点のポイントには、
要求室の機能性・快適性等
という項目があります。要は使えるかどうかということなんだと思いますが、
なかなか明快な採点がしづらいところなのかもしれません。
ただ、今回の要求室には
宿泊室B(和室・12畳)
・2室計画する。
・バルコニーを設ける。
・洗面台、便所及び押入を設ける。
という特記事項のある要求室がありました。
(研修部門にも「和室(10畳)+床の間&押入」という要求室がありましたが)
ユープラ掲示板に、12畳というのは室面積(6坪≒約20㎡)を表すとも言えるのでは?
という投稿がありましたが、常識で考えて
12畳 + 押入(布団の収納でしょうから奥行き半間は必要だと思います)に洗面・便所
という部屋なんだと思います。
室面積は部屋の形状や入口の取り方にもよりますが、最低でも6m×4.5m=27㎡はないと入らなさそう。また、布団を敷くことを考虜した室形状になってないと宿泊室としての機能が果たせなさそうです。
ユープラ公開案をちびちびと一つづつ見てみると、
特記の読み間違いだと思われる案(洋室?で記載)が、2案
和室ですよ〜

・和室だけ読んで、12畳を読み落としたのかなぁと思われる案(12畳無い)が、8案
12畳ですよ〜

・12畳取れてはいない(一見入るようなレイアウトがしてあっても畳のサイズが1500とかでは小児用セミナーハウスになってしまう^^;;;案が1案
団地サイズでも5尺6寸(長手で1,700)ありますよ〜

・室内プランがされていない又は畳敷きの部分が不整形で布団を敷くのに具合が良くない案が6案。
布団が並ばない〜
合計17案ですが、いずれも不合格の判定のようです。
本当のところはわかりませんが、採点項目になっていたのかもしれません。

とはいえ、こんな合格案もありましたが。
アレレ

【追記】

セミナー室 A
・教室型とし、50人程度が利用できるようにする。
・プレゼンテーション、講演会、各種発表等に利用する。
という要求室もありました。
長机で50人が座れて、講師用のスペース(プレゼンとかでも使うようなので2mくらい)取れていればいいのだと思いますが、机のサイズをw1800×d450と小さめに想定しても8m×7m=56㎡でキツキツの感じ。標準解答例では84㎡と90㎡となっています。
こちらも1コマ、49㎡で想定している案がありました。
子供用の机だったら・・・ダメかな

おそらく要求された使い方はできない。室の欠落ということにはならないのでしょうけれど、使えないものでは・・、という気はします。

2014年1月15日水曜日

ショートカット・トゥ・1Q_6

今回の課題で、空間構成上要求室のレイアウトに多少の配慮が必要だったと思われるのはエントランスホール。
要求室の特記事項に
・1階と2階の空間の連続性を考慮した吹抜けを計画する。
・周囲の自然景観を取り入れ、明るく開放的な空間とし、コミュニケーションの場やラウンジとしても利用する。
・学生が制作した美術作品等の展示を行う。
・風除室を設ける。
とあります。
レイアウト上注意したかったと思われるのは「周囲の自然景観を取り入れ」という特記。
要は開口部を設けるということなんだと思いますが、周囲の自然景観を取り入れられるのは北側ないし東側の樹林の景観だと思います。南側に開口を設けても湖面は道路より数メートル下がったところにあるので、1階からだと道路越に100mくらい先の湖面と遠くの山々が見えるだけの感じ。
まあ、遠景でも周囲の自然景観と言えなくはないのかもしれませんが。
景観を取り入れられるのは・・

標準解答例を見てみると、エントランスホールをどの部分で想定しているのかを記載してある面積から推定すると、2案とも北側に開口を設けて自然景観を取り入れているのだと思います。
標準解答例1

標準解答例2
どちらの案も研修部門の要求室の間にラウンジを挿入して共用部門のエントランスホールに自然景観を取り入れるという手法。
標準解答例2では展示コーナー南面が開口部となっていますが、全面に駐輪場を設けているので自然景観を取り入れるための開口部ということでもなさそう。
さらに言うと、北側に開口部を設けることで留意事項の
自然採光及び自然通風を積極的に取り入れる計画ととするとともに、日射の遮蔽にも配慮した計画とする。
にもすんなり合致させられそうです。

ユープラ参加案は、と検証してみるとどうも様相が違う。
南側に開口(&吹抜け)を設けて明るく開放的にするとした案が半数以上のようです。
エントランスホールには風除室以外の開口部がない合格案もあるので採点項目ではなかったのかもしれません。
また、計画の要点等でも工夫したことを記述するよう求められていますが、景観を取り入れることについての工夫について触れられている解答案は少数派。自然通風を積極的に取り入れる工夫についてはほとんどスルーです。
まあ、エントランスホールに自然通風を取り入れなければならないとは書かれていないわけですが。
多くの受験生がスルーした設計条件は採点項目になりにくい
ということもあるのかもしれない(本当ですか??)

【追記】

昨日ペンギンさんがブログ製図合格者たちの本番での割切り方という記事を載せてくださっていましたが、その中に
・エントランスホールには特記事項として自然景観を取り入れとあったが1階外周部に 
開口部が 計画出来なかったので屋根にハイサイドを計画し、自然景観を取り入れる計画とした 
とされている方がいました。
気分は
 春はあけぼの・・・山際、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
とか。雲や月でも自然景観といえば自然景観だよな〜というところなのか(本当ですか??)
さすが塾生といったところでしょうか。

2014年1月13日月曜日

ショートカット・トゥ・1Q_5

今日はオッサン家に程近い千葉県のプールで知的障害者の水泳大会。
会場が近づくにつれ修行僧の気合が充満しているのを感じる・・(本当ですか???ペンギン桜MMK風)
耳を澄ますと、“トラの穴”のメンバーの会話が聞こえたような気がしたので帰ってきてからちょこっと検証。

標準解答例2では、管理部門の事務室と食堂に設けた厨房はエントランスホールを挟んでレイアウトされています。

今回の課題のお題は大学のセミナーハウス。管理のスタイルはいくつかあるのだと思いますが、一般的には大学本部で使用の申込みをして料金は先に支払い。現地には管理委託された業者のかたがいるだけということを想定してもそれ程不自然ではないのかもしれません。
とすれば、事務室と厨房が離れていてもストーリーさえ成立するならそれ程無理のないレイアウトなのかも。
事務スタッフの主な業務は、来館者の受け入れ(宿泊室やセミナー室の鍵の管理)
厨房スタッフは食事の提供。
ということを念頭に標準解答例2を眺めてみると、サービス用駐車場は西側に設けられていて通用口も西側にあるのですが、敷地東側にもちゃっかり歩道の切り開きがあり、屋外テラス東側にケータリング等搬入の車両を一時停車させて積み降ろしするためのようなスペースが設けられています。
また、厨房内に便所が計画されていて、業務中は厨房内で作業が完結するよう想定しているのかもしれません。
よく見ると、屋外テラスの隅の植栽に1mくらい通路と思われる部分が取られていて厨房(&設備機械室)への出入口もあります。ストーリーは成立しそうです。
ストーリーは成立する?

ユープラにも、事務室と厨房(食堂)をエントランスホールを挟んでレイアウトした案があるのですが、この点に注目してみると・・・
(どなたの案かわかりませんが、勝手に引用スンマセンm(_ _)m

この案だと、サービス用駐車場から厨房の出入口へはメインアプローチを横切るのですが、この施設は不特定多数の方が常時出入りする施設ではないので何とかならないわけでもなさそう。
厨房から出てすぐのメインエントランス脇にゴミ置場も設けられているし、食堂に面して便所も(どーんと)計画されているので与えられた条件を充たすと判定されたのかもしれません。
ランク1

一方こちらの案だとゾーニングはほぼ同じなのですが、サービス用の動線がエントランスホール内を横切ることになるので、明快な動線計画とは判定されなかったのかもしれません。
ランク2
あくまで憶測なので、本当のところはわかりませんが m(_ _)m

【追記】
敷地北東、屋外テラス北側の空きをランク1案では「庭園」として積極的に?利用しているのに対して、ランク2案では、空いたままで何に利用するのかわかりにくいということも評価を分けるポイントになったのかもしれません。


【追記2】
千葉県国際総合水泳場のエントランスホール。1階と2階の空間の連続性を考慮した吹抜けが計画されていた模様。
設計条件だったのだろうか >_<

2014年1月12日日曜日

ショートカット・トゥ・1Q_4

ユープラ案が公開されて以来気になっていた
主要な屋根は2/10以上の勾配屋根とする。
という景観保全のための建築物に関しての制限。
主要な屋根がどこの部分を指すのかという話があるのかもしれませんが、
2階建て(アトリエ部分は1階)だとしたら、2階の屋根を主要な屋根とみなすのがフツーの感覚だと思います。一部1階となっている部分は制限の範囲外としても良さそう。
ということにしてユープラ案を見てみると、
勾配屋根の制限を素直に守っている案が70案。
設備スペースを屋上に確保するために一部を陸屋根とした案が55案ありあます。
(ほとんどの方の理由は敷地の有効利用ということになっていますが、有効に利用した敷地もせいぜい植栽が植わっているくらい、むしろムダに空いているようにしか見えなくてどうなんだろうという感じの案も見受けられます)
もう少し詳しく見ると、
陸屋根案の内でも、景観に配慮してなんだと思いますが北側を陸屋根にして湖側からは見えないように配慮している案が37案。
しかとして、見えることとかは気にしていなさそうな案が9案。
位置が未記入でどのように考えているかわからない案が9案です。
ちなみに、今回の課題文では要求図書として、設備スペースは平面図に記載するように求められていましたが、スルーして断面図に記載している案がほとんど。
受験生にシカトされた課題文条件は採点項目になりにくいということもあるのかもしれない(冗談ですm(_ _)m
採点の内訳は、
勾配屋根_採点
屋上に設備スペースを設けることのメリットも特に考えられないので、室外機等は地上設置で問題なかったはず。余り気味の敷地を設備スペース(屋外機器置場)としておけば、配置計画も簡単にまとめられる課題だったと思います。

2014年1月10日金曜日

ショートカット・トゥ・1Q_3

今日(1/10)現在のユープラでは、
解き直し・未受験案を除いた公開数は125案。
合否の内訳は
 ランク1・・36案(28.8%)
 ランク2・・52案(41.6%)
 ランク3・・32案(25.6%)
 ランク4・・  5案(  4.0%)
です。
KKの発表では、本試験の採点の結果は
 ランク1・・40.8%
 ランク2・・27.3%
 ランク3・・19.2%
 ランク4・・12.7%
ということなので、実勢からは少しズレている感じ。アレっ?

おそらく24、5歳でさっさと合格してしまうような方(15%、600名くらいおられます)や記念受験とかいう方はユープラとか面倒なことはスルーなんでしょうから、そういった方々を除くと実態に近づくのかもしれません。
 ↑ちょっと苦しい言い訳です…^^;
 検証用下書きをいくつか用意していたのですが、
 予想と異なる結果が出てきて(;^_^A アセアセ・・・
 多数派工作が失敗に終わった??本当ですか・・(←ペンギン桜MMK風)

まあ、解き直しを含めたユープラ参加案でも139案しかないので実受験数9,830人の1.4%。統計的には不確定要素の方が多いのですが、採点されたであろう条件を推測することはできるだろうということで検証を進めてみます。


課題文の設計条件から(個々の要求室の特記事項等を除いた)条件をピックアップしてみると、
主文
 この課題は、都市近郊の湖畔に建つ美術系の大学のセミナーハウスを計画するものである。本施設は、教員や講師を囲んでの実習や討論を通じてコミュニケーションを図る場であるとともに、豊かな自然を満喫することで心身をリフレッシュする場でもある。また、地域住民との交流の場となるように発表会、講演会、ワークショップ等ができる計画とする。

1.敷地及び周辺条件
敷地は、(中略)景観保全のため建築物に関して次の制限がある。
建ぺい率の限度は60%、容積率の限度は200%である。
主要な屋根は2/10以上の勾配屋根とする。

2.建築物
・地上2階建ての1棟の建築物とする。
・床面積の合計は、1,500㎡以上、1,800㎡以下とする。
・セミナー室 A・B・C、アトリエ、和室、エントランスホール及び食堂については、
 地域住民との交流の場となるように配慮する。
・エントランスホール:1階と2階の空間の連続性を考慮した吹抜けを計画する。
           周囲の自然景観を取り入れ明るく開放的な空間とし、
           コミュニケーションの場やラウンジとしても利用する。
・食堂:明るく開放的な空間とし、屋外テラスと一体的に利用できるようにする。

4.計画に当たっての留意事項

・研修部門、宿泊部門及び共用・管理部門を適切にゾーニングし、明快な動線計画とするとともに、避難等にも配慮する。
勾配屋根の形状を活かした室内空間となるように計画する。
自然採光及び自然通風を積極的に取り入れる計画とするとともに、日射の遮蔽にも配慮する。

お約束の建ペイやゾーニング・動線を除くと10項目もありません。

まとめると
大学のセミナーハウス_打合せ記録
コレだけです。
要求室の特記事項もアトリエに大きさの指定(天井高、間口・奥行き寸法)があるだけで、あとはごくありきたりなことだけ。いいプランになるかどうかは別にして、何かを犠牲にしなければ納まらない課題ではないと思います。