2014年5月31日土曜日

Low Emissivity_5:(春分・秋分)

ちょっと補足です。(まさかでないとは思いますが)

春分・秋分では昼夜は12時間づつということも言われますが、実際は昼の方が長い。
国立天文台のHPに解説がありますが、簡単にいうと・・

え”と思うかもしれませんが、日の出、日の入りというのは、
昔はこうだった。フランスでは今でもこうらしいですが。
こういう計測はしていません。
定義というか告示(明治35年文部省告示第165号)では、
太陽の上辺が視地平線 (または水平線) に一致する時刻を、日の出・日の入りの時刻とする
と決められています。
国立天文台HPより転載
わかりやすくは
日の出〜日の入り=昼の長さ
こうです。
なので、太陽の半径分を移動する時間だけ日の出は早くなり、日の入りは遅くなります。

太陽の見掛けの大きさは

約0.5°あります。
日の出(太陽が地平線にあらわれてたとき)から太陽の中心が地変線まで昇るまでには、
太陽が24時間で地球を1周するとすると、
 24 × 60 ÷ 360 × 0.5  × 1/2  ≒ 1(分)
で約1分かかります。

また、地上では大気の影響により地平線 (水平線) が浮き上がって見える効果(地平大気差35′8″があり、その分が2分強あるので、3分強日の出は早くなり、日の入りは遅くなります。

さらに、この図からわかるように
合格物語資料拝借
太陽はまっすぐには昇りません。
昇るところをよ〜く見ると、

コッシーの方(東京だと約54°)に向かって斜めに昇っていることがわかります。
なので3分強では昇り切れずに、
 3分強 ÷ sin54° ≒ 4分
くらい掛かることになります。
日の入りも同じなので、約8分くらい昼の方が長くなります。

Low Emissivity_4

いろいろデータをまとめてみると、そもそもワタシの日射取得のイメージが間違ってた感じ。
データが取れるのが、北緯35°(東京というか静岡−京都−島根)を中心にしてプラスマイナス10度くらい。とりあえずイメージしやすい北:稚内(北緯45.4°)東京(北緯35.7°)石垣(北緯24.3°)で太陽の動きを見てみます。

もうすぐやってくる夏至の日だと、
日の出・日の入り時間(日本標準時)、南中時太陽高度は、
 稚内:3時44分〜19時25分  日照時間:15時間23分  太陽高度:68.0°
 東京:4時25分〜19時    日照時間:14時間35分  太陽高度:77.7°
 石垣:5時56分〜19時34分  日照時間:13時間38分  太陽高度:89.1°
です。(データは国立天文台HPから
北にいくほど太陽高度は低くなりますが、可照時間は長くなります。
(ず〜っと北にいくと白夜)

コレを、sin,cos を駆使して【23063】のようにまとめてみる。
(たぶん合っていると思いますが、あまり自信がない…^^;
季節ごとの壁面の方位別可照時間
南向き窓面への日射量ということで考えれば・・

ピパーチさんのいる石垣は、夏至の日の南中時の太陽高度は89.1°でほぼ真上。でも南向き鉛直面の日照時間は3時間くらいしかありません。(本当ですか・・?)
それに対して、日本最北端みたいな稚内は、夏至の日の南中時の太陽高度は68.0°なので
鉛直入射の太陽光の sin68.0° = 0.927倍。若干小さくなるとはいえ(ここまで太陽高度が上がると大して変わらない^^;)南向き鉛直面の日照時間は石垣の3倍近い(ノ゚ο゚)ノ
(計算合ってるよな??)
なので、夏至の日の南向き窓面からの日射量は
 稚内>石垣
本当ですかぁ〜?????

試しにNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の年間時別日射量データベース(METPV-11)を見てみると、
稚内_夏至頃
石垣_夏至頃
確かに実測値からの換算で、稚内1.87(MJ/㎡)、石垣0.65(MJ/㎡)3倍近い差がありあます。
(NEDOのデータはアメダスを元データにしているので、夏至の日に近い晴天時でのデータをとっています)
グラフの面積が日射量になるので、稚内>石垣、←コレホント?

法2条七号_建告1399

今年は出ませんけれど。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155140707&Mode=0

42ミリ両面とは随分な…^^;

2014年5月30日金曜日

Low Emissivity_3

ロウイーの仕組みは何となく理解できたけれども、
気になるのはシミュレーションです。
ガラスメーカー3社ともカタログにシミュレーションを載せています。
メーカーによって自社製品の特性に多少の差があるようですが、
各社とも気象庁のアメダスデータを元に計算しています。
 A社:http://www.asahiglassplaza.net/catalogue/sougo_gi2012/0032bpg.htm
 N社:http://glass-catalog.jp/pdf/g06-010.pdf
 C社:http://www.cg-glass.jp/pro/sub_digitalcatalog/index.html
  (A社対N社とか言うと、3本線対翼みたいだと思ったのはナイショです…^^;)

計算結果をさらっと見てみると・・
A社(アルファベット順、ウソ)カタログを加工
3ミリ透明ガラスに対する比較になっていますが、複層ガラスにするわけですから暖房負荷が減るのは当然として、冷房負荷が増えてしまうのは??
本当ですか^^;;;
こういうもんなのだろうか。
ん〜、ここは落武者さんに来てもらって説明を請わないといけないかもしれない。

ワールドワイド

APPLE配信の今日のメール。
父の日にiPadを。お父さんを驚かせよう。
のリンク先は、Apple Store だったのですが・・・

Apple Store H.P.
本家(アメリカ)を見にいくと・・
^^;;;
読み飛ばしそうになった日本語訳が、いいね!(ぽちっ)
今年のブログ大賞流行語「本当ですか?」みた〜い、と思ったのはナイショです…^^;

2014年5月27日火曜日

作品問題_日本建築史

合格物語で検索すると(H3〜H23)日本建築史の出題は13問。
問題文のわかる範囲で列記すると、
H4
【04251】妙喜庵待庵
【04252】慈照寺東求堂の同仁斎は,四畳半茶室の起源といわれる.
【04253】桂離宮
【04254】大徳寺の孤蓬庵忘筌は,小堀遠州作の茶室である.
【04255】二条城二の丸殿舎の黒書院には,押板床・違棚・付書院をもつ上段の間がある.

H5
【05251】「棟持柱」と「神明造り」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい.
【05252】「挿肘木」と「大仏様(天竺様)」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい
【05253】「海老虹梁」と「禅宗様(唐様)」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい
【05254】「中門廊」と「寝殿造り」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい.
05255「渡殿」と「書院造り」とは,建築要素と建築様式の組合せとして正しい.

H9
【09251】浄土寺浄土堂は,重源によって建立された大仏様(天竺様)の建築である.
09252妙喜庵待庵は,小堀遠州作の書院茶室である.
【09253】桂離宮は,江戸時代に造営された数奇屋造りの代表例である.
【09254】円覚寺舎利殿は,禅宗様(唐様)の建築の例である.
【09255】日光東照宮の社殿は,本殿と拝殿との間を石の間でつなぐ権現造りの例である.

H11
【11251】金閣は足利義満が造営した北山殿の一部であり,最上層を禅宗様仏堂の形式とし第2層に和様仏堂風・初層に住宅風の建築様式を用いている.
【11252】銀閣と同じ敷地に建つ東求堂(とうぐどう)の同仁斎(どうじんさい)は,現存する最も古い違い棚と付書院をもつ「四畳半」である.
11253金閣や銀閣は,敷地の南側の庭や池を「コの字型」に囲んだ寝殿造の建築物のうち,釣殿が残ったものである.
【11254】金閣や銀閣が建てられた時代には,能楽・茶の湯・生け花・連歌・水墨画.・枯山水の庭園といった日本の伝統文化がその形を整え,建築にも大きな影響を与えた.
【11255】金閣や銀閣が建てられた時代には,武家住宅に床の間・違い棚・付書院などの座敷飾りが用いられるようになり,書院造が発展し今日の和風住宅の原型が形成された.

H12
【12251】アヤ・ソフィア(イスタンブール)
12252】凱旋門(パリ)
【12253】桂離宮
【12254】東大寺南大門とは,天竺様(大仏様)建築の建築様式である.
【12255】テンピエット(ローマ)


H13
【13251】日光東照宮社殿(栃木県)は,本殿と拝殿との間を石の間でつなぐ権現造りの例である
【13252】西本願寺飛雲閣(京都府)は,外観,内部ともに住宅風に造られており,軽快で奇抜な意匠が施されている.
【13253】姫路城(兵庫県)は,小丘を巧みに利用して構築された平山城で,優美な外観が特徴である
【13254】厳島神社社殿(広島県)は,宮島の海浜に設けられたもので,自然美と人工美が巧みに調和している.
13255出雲大社本殿(島根県)は,正面の片方の柱間を入口とした非対称の形式をもつ中門造りの神社建築の例である.

H14
【14241】パルテノン神殿(アテネ)
【14242】薬師寺東塔(奈良市)は,三手先の組物を用い,裳階が付いた三重塔である.
【14243】ノートルダム大聖堂(パリ)
14244浄土寺浄土堂(兵庫県小野市)は,海老虹梁を用いた禅宗様(唐様)の建築である.
【14245】アルハンブラ宮殿(グラナダ)

H15
15241沖縄県にある今帰仁城跡や首里城跡等の歴史的な資産は,琉球地方独自の文化遺産として2000年にユネスコの世界遺産に登録されている.
【15242】佐賀県の有田町は,江戸時代以来の町家を保存し,活用するとともに,耐火煉瓦塀の復元や裏通りの整備等のまちづくりを進めている.
【15243】サッポロファクトリー
【15244】京都文化博物館の別館
15255東京国立近代美術館の工芸館

H16
16251江戸時代における居住施設に関して,農家は,地方により架構や平面が異なり,東北地方の南部曲り家においては,馬を家の中で飼育できるようになっている.
【16252】江戸時代における居住施設に関して,商家は,町家の一つであり,今西家(橿原市今井町)のように,表通りに面し,片側が土間で奥に座敷を設けたものがある.
【16253】江戸時代における居住施設に関して,寺院の塔頭等においては,茶室を設ける場合があり,如庵は,京都の建仁寺内に織田有楽斎が建立したとされる.
【16254】江戸時代における居住施設に関して,公家の社会においては,王朝文化を反映した別荘等が造営され,桂離宮はその代表例である.
16255江戸時代における居住施設に関して,武士の住居には,主として,書院造りが用いられ,二条城二の丸御殿の白書院,黒書院等はその代表例である.(図版

H17
17241光浄院客殿の平面は,「匠明」の殿屋集に描かれている「主殿の図」とほぼ同じであり,桃山時代の標準的な武家の住宅の形式を示すものと考えられている.
【17242】法隆寺東院伝法堂は,桁行が7間であるが移建前は5間であり,聖武天皇橘夫人の邸宅の一屋を移して建立したものと考えられている.
【17243】竜吟庵方丈は,東福寺の塔頭であり,現存する最古の方丈といわれている.
【17244】三仏寺投入堂は,修験の道場として山中に営まれた三仏寺の奥院であり,岩山の崖の窪みに建てられた懸造りである.
17245新薬師寺本堂は,一重,寄棟造りであり,前面1間を吹放しとしている.

H18
18251】「神明造り」とは,切妻造り,平入りとし,柱はすべて掘立て柱を用い,2本の棟持柱があり,平面四周に高欄付きの縁をめぐらす形式である.
18252「大社造り」とは,切妻造り,平入りとし,前殿と後殿とを連結し,両殿の間に生じた屋根の谷に陸樋を設ける形式である.
【18253】「住吉造り」とは,切妻造り,妻入りとし,平面は前後に外陣・内陣に分かれ,前後に細長い形状であり,回り縁・高欄がない形式である.
【18254】「春日造り」とは,切妻造り,妻入り,丹塗りとし,正面柱間は1間のものが多く,土台を設ける形式である.
【18255】「権現造り」とは,拝殿と本殿を相の間で連結し,拝殿と本殿は入母屋造りのものが多く,相の間の屋根は両下りである形式である.

H19
【19241】鹿苑寺金閣(京都市)は,方形造りの舎利殿で,最上層を禅宗様仏堂風,二層を和様仏堂風,初層を住宅風とした三層の建築物である.
【19242】鹿苑寺金閣(京都市)は,方形造りの舎利殿で,最上層を禅宗様仏堂風,二層を和様仏堂風,初層を住宅風とした三層の建築物である.
【19243】伊勢神宮内宮正殿(三重県伊勢市)は,東西に隣接する南北に細長い二つの敷地のうち,式年遷宮によって交替で一方の敷地を用いて,造替が繰り返されてきている.
【19244】アルハンブラ宮殿(グラナダ)
19245サン・ピエトロ大聖堂(ヴァチカン)

H22
【22021】「神明造り」の特徴として,切妻屋根の棟の上に棟と直交する円形断面の堅魚木が並び,棟の両端に斜めに突き出した千木がある.
22022「天竺様(大仏様)」の特徴として,組物は,柱頭だけでなく柱間にも並び,組物間の空きが小さいことから詰組みと呼ばれている.
【22023】「唐様(禅宗様)」の特徴である,上部が曲線をなす開口部は火灯(かとう)と呼ばれ,鎌倉時代後半に初めて用いられている.
【22024】「寝殿造り」の特徴として,寝殿の左右や後ろに造られた独立の住屋は,対屋と呼ばれ,渡殿で連結されている.

建築史や作品問題は、建築物ないし建築様式の特徴の組合せが正しいかどうかという問題。こういう問題は、知っているかどうかで、考えて答えが導きだせる問題ではないので知らないものは勘でマークするしかなさそうなんですが・・。

問題文は、ほぼほぼ断定で「・・である」という形式でつくられてますが、
H17年は、微妙なところで問題を作成していて、
桃山時代の標準的な武家の住宅」なんていっても遺構は残ってないし、
法隆寺東院伝法堂」も、法隆寺東院資材帳(天平宝宇5年(761))に「橘夫人宅奉納」と記されているので、おそらくそう考えられているだけ。(否定する資料はないので多分そうなんだろうという感じ
竜吟庵方丈」も合格物語の解説では
[方丈]:高僧の接客と日常生活に機能する施設をいう.
となっていますが、日本建築史図集だと
>本来の塔頭の中心的建築は塔を祭るための昭堂であって、方丈は守塔比丘の住居に過ぎなかった。方丈はのちに塔頭の中心施設として性格を変えてゆくのであって、現存する方丈の大部分は変化後の姿を示している。応仁乱以前の古制を残す例としては竜吟庵方丈一つあるだけである。・・
文化庁の国指定文化財等データベースの解説だと
竜吟庵は東福寺の塔頭の一で、この方丈は嘉慶元年(一三八七)に建てられた。
現存最古のの(原文ママ)方丈。中央前面の間(室中)正面を壁とし仏壇を設けないなど,近世の標準的な方丈形式に達する前の古式を伝えている。前面に蔀戸を用い,側面にも扉を開くなど寝殿造りにも通じる構成も方丈の古い形式と考えられ,貴重である。
ということで、方丈でもいいのかもしれないけれど・・みたいなニュアンス。
なので問題文も歯切れが悪く「といわれている」にしているのかもしれない。
まあ、問題そのものは、
日本の歴史的な建造物に関する次の記述のうち、最も不適当な物はどれか。
で【17245】があきらかな間違いなので問題はないのですが。
10年に1度くらいこういう意欲に溢れた?出題があって、最近では
【24124】の原さん自邸の問題文。
住居の中に「都市を埋蔵する」構成を意図した住宅
といわれている
本当ですかぁ?
と突っ込みそうになったのはナイショです^^;;;
コレは、ご本人が発表した雑誌に解説で書かれていたことではあるのだけれど、
ぶっちゃけトークだと、思いつきのキャッチフレーズだとか?

過去問は落とせないとはいっても、あまり神経質にならないで
さらっと流しておくくらいでいいものもあると思います。

2014年5月26日月曜日

Re._5/21

ちょこっと、とあるブログで見た話。
たいした話じゃないのだけど、
と思いつつ気になっていたのですが、
道にいっぱいあるのを見ながら歩いてるときに思いつく( ̄^ ̄)
450の対角は450 × √2 ≒ 636
そうは違わないのかもしれない^^;
考え過ぎると眉間にシワが・・(一言多いm(_ _)m

2014年5月25日日曜日

アト◯日

今日は国立で、来年のラグビーワールドカップ・アジア地区最終予選。
アジアでは敵無しなので勝つには勝ったけれどもという感じ。
まあ、気温27度とかでは調子も狂うというもんかもですが ( ̄ー ̄;
聖火にも火が
エリスカップ(ラグビーワールドカップトロフィー)も来日中
初戦(2015年9月19日)までアト16カ月。
その前にFIFAワールドカップがありますが。コチラはアト3週間。

【追記】
bjリーグはキングスが優勝していた。

2014年5月24日土曜日

三手先の変遷

(追記です)

図版の建造物は、
薬師寺東塔は天平2年(730年)
醍醐寺五重塔は天暦六年(952年)
平等院鳳凰堂は天喜元年(1053年)
常楽寺三重塔は応永七年(1400年)
の完成です。
日本の近代的な建築史研究は明治時代中頃からの100年を越える積み重ねがありますが、ブログで紹介しているのは、定説に近い学説です。(出典は日本建築学会篇『日本建築史図集』の解説で、この部分の解説の参考文献は、『社寺建築の技術—中世を主とした歴史・技法・意匠』(大森健二)

進化というのかどうかはわかりませんが、三手先の変遷として
薬師寺東塔(解体修理中)
醍醐寺五重塔
平等院鳳凰堂
とあげられます。

薬師寺東塔の場合、「斗の位置ガ自由に決められ」というのは、三手先目の組物(丸桁)の出の位置が自由(制約がない)ということです。(部材(木材)の大きさによる制約はありますが)
これが、醍醐寺五重塔では、隅部分で二手目の秤肘木を伸ばすようにしていて、その先に置かれる斗が三手先目の枠肘木と交差し合う状態となるので、(三手目の)位置を調節する必要がでてきます。
さらに時代が降り平等院鳳凰堂では、手先間隔を完数(切りのよい数値)として均等になるよう調整されているので、二手目も三手目も肘木は隅の平組物と一体となっていて、二手目の伸ばした肘木の上に置かれる斗は三手目の肘木を受けるようになっています。(醍醐寺五重塔では、二手と三手の間隔は尾垂木との関係で決められています)
以降、和洋三手先は全てこの形式を踏襲していて、これをもって三手先の形式の完成と言うようです。

三手先

スパイスガールズの、ママ受験生が
唐招提寺金堂は 完成形?

斗(ます)の位置が整って配置され三手先組物が完成した
とブログに書かれていましたが・・・

合格物語の解説には、
【14242】「薬師寺東塔(奈良時代)」は,軒先を支える3段構成の三手先の組物を用いているが,形式はまだ不完全のものである.
とあり、
建築学会編の図集の薬師寺東塔の解説には、
>・・・この様式を白鳳様式とみなす最大の理由は、組物が三手先であるが、
 唐招提寺金堂に見られるような整った三手先になっていないという点にある。
と書かれていますが、
整ったから、ハイ完成です、だとちょっと飛躍し過ぎ?
のような気もするのでいつものおせっかいです。
(出ませんよ〜)

薬師寺東塔(白鳳時代)の組物細部はこんな感じ。
薬師寺東塔_三手先
三手先の最も古い例で、まだ軒支輪がなく、斗の上に斗が重なるという形式にはなっていません。
また、尾垂木の上にのる三手先目の組物の位置が自由であり、その秤肘木の大きさも壁付きの枠肘木とは無関係に決められていて、鬼斗も使われていません。

一方、唐招提寺(天平時代)では、壁から前に突き出しただけの三手先を、横に連絡して軒支輪をつけたものとなりますが、まだ斗の配置は整備されず、この完成は、当麻寺東塔(奈良末)、
当麻寺西塔(平安初期)や室生寺五重塔(奈良末〜平安初期)になってから。

唐招提寺金堂の斗栱原寸大模型(国立科学博物館蔵)
なお、唐招提寺は何度か修理されていて、元禄(江戸時代)の改修で小屋組に跳ね木や貫が加えられ、高さが約2m高くなり、現在まで続く外観となっています。
創建時復元正面図      ビフォーアフター      改修後現状正面図

隅の組物の組み方も、醍醐寺五重塔(平安中期)では二手目の秤肘木を隅で伸ばしたものとなって三手先目の位置を調整するようになり、平等院鳳凰堂(平安中期)で完成されたものが見られ、以降の和洋組物はこの形式が踏襲されていきます。

壁付きの斗、肘木も醍醐寺五重塔や平等院鳳凰堂では、大斗の上に三斗組を造り、長い通し肘木をのせ、更に三斗組をおく方式であったものが一乗寺三重塔(平安末)や常楽寺三重塔(室町中期)になると、3段の通肘木を重ねる形式に変化していきます。
また、常楽寺三重塔の組物は完成した六枝掛を示していて、垂木の寸法と割付寸法が建築単位として成立し、組物が垂木寸法と有機的な関係を持つようになったといわれています。
三手先の変遷(上から薬師寺東塔、醍醐寺五重塔、常楽寺三重塔)
何をもって完成したというのかは、いろいろありそうです。
(*図版及び解説は建築学会編の日本建築史図集より転載)

【追記】
六枝掛のような部材比例を数量化し、体系化したものが木割術。
【25172】にでてくる木割で、匠家の秘伝として伝えられたもので有名なのが「匠明」。
幕府大棟梁平内家に伝承されてきたものです。
なお、木版本となって流布した木割書もあります。
匠明

【追記の追記】
数年前に終わった唐招提寺の平成の修理では、スーパーゼネコンの構造部長さんらによって一種の耐震補強もなされています。(ちなみに建築学会賞受賞(技術))
技術の進歩はすばらしい。
 参考一社)日本建築総合研究所機関誌GBRC2009年10月号
修理記録写真(唐招提寺公式HPより転載)
木造1階建てですが、柱間で約28m × 14.6m(軒の出は約4.4mあります)、高さ15.7m。
大規模木造ですよ、オクサン。

2014年5月23日金曜日

Low Emissivity_2

日射熱取得率:通称
これはイタチ





オットマチガエマシタ
η(イータ)値は、
[SC値(Shading Coefficient):日射遮蔽経数]=(η値:日射熱取得率)/(3ミリフロート板ガラスの日射熱取得率)
で表されます。
つーことは
η値(日射熱取得率) = 0.88(標準ガラスの熱取得率) × SC値(日射遮蔽係数)
 (*簡単に書くとη = 0.88 SC)
つまり、η値(日射熱取得率)というのは、標準ガラスの熱取得率に掛ける係数(日射遮蔽経数)ということ。
なので、
η値が大きい(要はい、遮熱が悪いトモイウ)・・SC値が大きい(基準の1に近い、0.9とか)
η値が小さい(要はしい、遮熱効果ありトモイウ)・・SC値が小さい(ゼロに近い、0.1とか)
となります。

基準ガラスの3mmフロート板ガラスの遮熱性能は、SC値:1.00、η値:0.88ですが、
日射(可視光とは違います)が、ガラス面に垂直に入射したとすると、
 反射率:  7.8%
 透過率:86.7%
 吸収率:  5.7%(コレは室外側と室内側に分かれて再放熱されます)
になります。
コレを改善(遮熱性能を良く)するためには、透過率を小さくして
・吸収率を大きくする(熱線吸収ガラスにする)
・反射率を大きくする(熱線反射ガラスにする)
ということが考えられます。
6ミリガラスのデータで比較してみると、
透明ガラスを熱線吸収ガラス/熱線反射ガラスにする
0.85(6ミリなので3ミリより若干日射が遮蔽されます)だったη値が、
それぞれ、0.63、0.69と下がります。
(ただし可視光も遮るので室内は暗くなります。といって照明を点けると発熱で暑くなります。
通称イタチごっこ・・本当ですか?くだらないことスンマセンm(_ _)m

透過率を小さくした上で、室内への再放熱を小さくすると更に日射遮蔽効果が増します。
再放熱は、日射吸収したガラスと室内外の熱抵抗の比によって再配分されるので、室内側の熱抵抗が大きい方が室内側に再放熱される割合は小さくなります。複層ガラスの場合には、室外側のガラスにより多くの日射を吸収させた方が室内側への再放熱の割合を小さくすることになり、遮熱に対しては有効になります。
なので、Low-E複層ガラスの場合には、室外側のガラスをLow-Eガラスとした方が室外側ガラスに吸収された日射は、Low-E膜の低放射効果によって室内側への放射が抑制され、吸収された日射は室外側により多く再放熱されることになり遮熱効果が高まります。
複層ガラスの室外側に日射を吸収させて室内への再放射を抑えるのが遮熱では効果的
透明複層ガラスでは0.80だったη値が、0.42、0.64と下がります。
特に外側をLow-Eガラスとした複層ガラスの遮熱効果が高いことがわかります。
*ガラスの熱・光学性能値は旭硝子総合カタログ・技術資料編からの転載です。

【追記】
ガラスの熱特性は
JIS R 3106:1998(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)で規定されているので、これに基づいて算出できるようです。(やりませんが…^^;

2014年5月22日木曜日

Low Emissivity_1

◯◯女の受験生に触発されて、Low-Eのことをパラパラと見ていたら、板ガラス協会の運営しているサイトに、
冷暖房費削減シミュレーション(→http://www.ecoglass.jp/s_about/sim.html
というものがあった。
試してみると、計算されている13都市の結果は
シミュレーション
全て同じ設計でのシミュレーションなので、一概に比較するのもどうかということはありますが、那覇(沖縄)の集合住宅だと
沖縄で雪だるま(ノ゚ο゚)ノ全て同じ絵のようです
なんと年間1,883円、CO2排出削減量は、ぶなの木1本分にもなります。
とのこと。
本当ですかぁ〜?
ロウイーガラスのイメージが・・(-_-;)
いつもの勘違いか?
なんか違っているのかな、ちょっと調べてみる。

2014年5月19日月曜日

EMOJI

先週は各国で代表メンバーの発表がありましたが、こんなニュース(ヘッドラインしか見てませんが)が。
England World Cup squad: Ashley Cole loves using Emoji on Twitter
(→http://www.independent.co.uk/sport/football/news-and-comment/england-world-cup-squad-ashley-cole-loves-using-emoji-on-twitter-9355022.html*注:音声の自動再生があります

選考自体は予想されたことだったのですが、“Emoji”でツィートって^^;
知らなかったのですが、絵文字ってEmojiになって海外進出してたんですね。
今ではIn the Unicode standardとなっているらしい。(by Wiki英語版「Emoji」)
試しにMacの文字ビューワを見てみると、

ありゃ、いつの間に。
これも技術(文化?)の進歩なのか・・

2014年5月18日日曜日

二方弁/三方弁

空調設備の「WEB講義」に
問題コード05194についてですが, 
「三方弁制御」は「定流量方式」,「二方弁制御」は「変流量方式」とあります.ここで補足説明しておきましょう.「三方弁」と「二方弁」については,図問題として収録されている問題コード07211を参照して下さい.この問題文中に,「三方弁」と「二方弁」が表記されていますね?
と書かれています。【07211】を見にいくと・・
えっと、三方弁、三方弁、あったー。それと〜、二方弁、二方弁?あれっ…^^; Web講義を見直すと、
この問題文中に,「三方弁」と「二方弁」が表記されていますね?
アタマだけでなく目も悪くなったか(泣)
なんて方はいないだろうけれど、知識の掘り下げ?つーか、いつものおせっかいです^^;;;

設備図面を見ることがあれば、これなんだとわかるのだろうけれど、
コレです。
官庁営繕資料より転載
問題の図ではよく見えないので拡大すると・・

冷却水配管についてる三個の△(問題文の@)はバイパス回路(イメージとしてはショートカット)になっています。つまりコイルを通らないで冷凍機に戻る回路があります。
温水配管のほうについてる二個の△が二方弁(加湿器の回路とで二台ついてます)。
どちらも制御のための装置です。

*ちなみに、三方弁には分流三方弁と混合三方弁とがありますが、分流三方弁は往き管に、混合三方弁は還り管に設置します。図は混合型、一般には混合型を設けることが多いようです。
(コレがフレンチロースト、オットマチガエマシタ深煎りモトイ深入りです)

制御の仕方はWeb講義に書かれている通りで、

定水量(CWV)制御:三方弁を用いる
配管系に流れる冷温水の水量を変えずに、熱交換量や冷温水の温度などを制御する方式。

変水量(VWV)制御:二方弁を用いる
配管系に流れる冷温水の水量を変化させて、熱交換量・出力や冷温水の温度を制御する方式。

三方弁は なぜ制御出来ないの?
ということはなくて、方法が違うだけでどちらも制御します。そりゃそうだ。

一般にこういったものにはメリット・デメリットというものがあるのですが、

05194空気調和機の冷温水コイルの三方弁制御(定流量方式)は,二方弁制御(変流量方式)よりポンプ動力を減少させることができる.
25123空気調和機の冷温水コイルまわりの制御については,一般に二方弁制御より三方弁制御のほうがポンプ動力を減少させることができる.

の問題で聞かれているのは、ポンプ動力(要は省エネ性)の大小。
流れる量を制御する(=必要分だけ流す)変水量制御(二方弁)のほうがポンプ動力は少なくできる(冷暖房をフル稼働しなくていい)時期があります。
イメージですが(冷水や温水の違いは無視して流れる量だけみて下さい)
フル稼働時
半分でいいとき
大雑把なイメージですが、定流量制御ではポンプの制御をしないので簡単な機構になりますが、変流量制御では制御量に応じたポンプ稼働(コチラはインバータ制御もしくはポンプ台数制御等)にすることで省エネします。

なお、蓄熱槽を設置した開放回路方式においては、三方弁を用いた定流量制御では、
低負荷時に低温度差で還水することになるので蓄熱槽効率が低くなってしまいます。
蓄熱槽の有効利用のためには、容量制御に二方弁を使用し往き還り温度差の確保に配慮する必要があります。(過去問になんかあったような気がしますが探せなかった…^^;

参考:ヒートポンプ蓄熱センター用語集_制御